生成AIの食わず嫌いに「Perplexity」

皆さんこんにちは。生成AI協会(GAIS)のエバンジェリスト森です。前回の「Dify」についての記事はご覧になっていただけたでしょうか。GAIS内での評判もそこそこ良く、気を良くした今回は第二弾ということで「Perplexity」を取り上げてみます。

出典:「Perplexity」https://www.perplexity.ai/

企業や組織での生成AI導入検討

たまたま検索にヒットしたという方も含めて、当協会のコンテンツをお読みになっていただける方は「生成AI」について何らか調査中だったり、企業や組織で導入検討中だったりという方が多いのではないでしょうか?様々なツールを比較検討していたり、LLMの導入を検討している方もいらっしゃるかもしれませんね。業界の特殊な事例があれば別でしょうが、一般的な組織であれば最初に採用候補に上がるのはどうしても「ChatGPT」になるのではないでしょうか。昨今の生成AIブームの火付け役であり、マイクロソフトも協力関係にあるので選びやすく、生成AIを普段から使っていない人たちも名前ぐらいは耳にしたことがあるので「あー、あれね」となりやすいですよね。

ただ、組織に導入となると懸念材料も含めて慎重に検討されるのもまた事実です。情報漏洩の懸念や、業務に役立つ具体案が無いなど「時期尚早」みたいな話で予算が下りなかったなんて話も耳にしたりしました。みなさんは普段生成AIを使ってない上層部の人がどう判断しているのか考えたことありますか?実際目にした例ですと、「自社の社名を入れても正しくない情報が出てきた」とか「社長の名前が違ってた」とか「自社製品の情報が正しくない」などで「使えない」と判断されることが多く見受けられます。実際の生成AIを使った組織の業務効率を目指す場合に、これらの情報は大した意味はないのがおわかりいただけるんじゃないかと思うのですが、どうしても最初は検索エンジン風に使ってしまうんですよね。

そんな上層部への提案のときに比較対象として「Perplexity」も候補で入れていくとなかなか良いかもしれません。

「Perplexity」の強み

「Perplexity」はネット検索情報が多分に含まれた作りになっており、ググってきてまとめてくれたような回答が得られる傾向が高くなっています。ネット上に何の情報もない組織を除けば、ChatGPTよりも詳しい情報が出てくると思われます。結果としてありもしない情報を自信満々に回答してくる「ハルシネーション」という現象も比較的少ないのではないでしょうか。

出典:「Perplexity」で「GAISについて教えて下さい」と尋ねてみた

この現行の執筆時点である2024年7月の無料版では内部のエンジンとしてGPT3.5が使われるとありますので、他のLLMと比べると多少古いものを使っていますが、返ってくる文章におかしなところは見受けられませんし、ネットの情報をしっかり持っているからか、正確性においても見劣りすることもありません。むしろ「Perplexity」の方が正確のように感じることが多々あります。

自前で自組織の知識を持つRAGというアプローチが企業導入の流行ではありますし、その傾向はしばらくは続くのかなと思いますが、導入検討以前で可能性を探っている段階であれば「Perplexity」の機能性は目を引くのではないでしょうか。普段ChatGPTを使っている人であれば結果の違いを感じられるでしょうし、特に何も使ってない人でも「Googleの代わりにつかってみようかな?」と思えるのではないかと期待しています。

著作権について

思いの外ネットの情報を回答してくる様子から、「これ著作権とかどうなってんの?」と思われることもあります。文化庁のセミナーや資料で確認できますが、日本の著作権法では一部の例外を除き、AIの学習過程において著作権者の許諾は必要ないことになっています。少なくとも我々が「Perplexity」を使ってみるという点においては問題ないでしょう。

出典:文化庁「AIと著作権」https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/93903601.html

ただし利用する側は、出力された情報をなんの手も加えずにそのままコピペで使うことは考えたほうが良いです。これは「Perplexity」に限らず、すべての生成AIで同じことが言えます。上記の資料でも言及されていますが、AIの生成物には著作権は存在しないという考え方が主流ですし、他社の著作物を侵害する可能性はありますので、外部に出す場合はチェックが必要ですし、特に理由がなければ社内限定にしたほうが良いでしょう。

Softbankも提携

ChatGPTがマイクロソフトの支援を得ているように、「Perplexity」はSoftbankと提携し始めました。いくつかのサービスを利用しているユーザーがPerplexityの有料プランを1年間無料で利用できるというもののようです。このニュースでPerplexityを初めて耳にされた方も多いのかもしれません。少なくとも得体のしれない海外のベンチャー企業?という懸念は払拭できるのではないでしょうか。

出典:Softbank https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2024/20240617_01/

「Perplexity」のお試し的使い方

さてココまで組織での導入に際して比較検討の1つとしてはいかがでしょう?という趣旨で書いてきましたが、無料から使えるので普段使いで他の生成AIと並行して使うのも結構良い使い方かと思います。特にネット検索系が強い気がしているので、調べ物には向いているのではないでしょうか。

お試しとして無料版を使う際には一応情報漏えい対策として「設定」画面から「アカウント」の「AIデータ保持」という項目をオフにしておきましょう。

出典:「Perplexity」より「設定」

利用規約を読むと生成されたコンテンツは商用利用不可で、入力した情報がサービス利用の向上に使われるとあります。企業向け有料版の方ではデータの学習はしないとありますので、導入の際は有料版が必須ですね。

出典:「Perplexity Enterprise Pro」https://www.perplexity.ai/enterprise

まとめ

生成AIを使ったサービスも、似たりよったりではなくそれぞれの特長が出始めてきました。新しい技術の出始めで比較検討するとどうしてもスペックの検討になりがちです。ベンチマークのスコアが公開されて競い合うことで性能を高め合っているのもまた事実ですが、必ずしもこのスコアが使いやすさに比例するものではないことを「Perplexity」を使ってみると感じます。ぜひご自身の目で確認して検討材料の1つにしてみることをおすすめします。