[ダイジェスト] Interop 25 Tokyo が幕張メッセで開催

2025年6月11日から13日にかけて幕張メッセで開催された「Interop 25 Tokyo」3日間で過去最高の13万6,875人もの来場者を記録。昨年の実績を大きく上回る活気の中で、国内外約500社が未来のAIインフラを提示しました。本記事では、生成AIインフラの最前線を紹介します。AIネイティブなネットワーク運用、高速GPUクラスタの構築、そしてAPN(オールフォトニクスネットワーク)による分散学習など、多岐にわたるデモンストレーションとセッションを通じて見えてきた、AI時代を支える強固な基盤の方向性とは何だったのでしょうか。

日鉄ソリューションズJiteraが共同で「開発AIエージェント Jitera」を披露した。要件定義やFigmaデザインを投入するとAPI・DB設計、ソースコード生成、E2Eテストまで自動化するワークフローをライブデモし、フルスクラッチ同等の柔軟性を保ちつつ開発速度3倍を謳った。今年1月に両社が締結したテクノロジーパートナー契約を踏まえ、金融・製造領域でのPoC成果やSI連携メニューも紹介。生成AIによるコスト削減とレガシー刷新への具体策を提示するブースとして注目を集めた。

メタデータ社は大規模社内ナレッジ向け高精度RAGソリューション「ChatBrid」と完全オンプレミス版「ChatBridOR」を披露した。PDFやWeb文書を自動で階層整理し最適チャンク化、特許のビジュアル類似検索や影プロンプト群、自動評価ツールなど知識改善ツール群で応答精度90%超を謳う。クラウド/オンプレ両対応に加え、LLM切替によるBCP機能やデータを漏らさない閉域構成を提案し、RAG導入に悩む企業のセキュリティ・精度課題を解決する具体策として注目を集めた。デモではFAQ応答の速度と精度をライブで示し、業務効率化の具体的な効果を訴求した。

東大松尾研発スタートアップのエムニは製造業向け生成AIソリューションを披露した。展示の中心は、熟練工の暗黙知を音声対話で抽出しナレッジ化する「技能伝承AIインタビュアー」と、特許情報を瞬時に俯瞰できるパテントマップ自動生成AI。両デモは省人化と品質維持、知財戦略を同時に支援できる点を強調し、多くの来場者を集めた。さらに、個社課題に合わせたオーダーメイド開発や無料デモ開発相談も案内し、人材不足とレガシー刷新に悩む製造業のDX加速策として注目を浴びた。

エクシオグループNDIソリューションズが共同ブースを構えた。エクシオは Azure OpenAIを基盤に社内ナレッジ検索・文書要約・FAQ自動生成を統合した「生成AI活用基盤提供サービス」を実演。NDISは動画をアップロードするだけで内容解析から要約、対話型Q&A、翻訳、マニュアル化まで行う生成AIツール「Video Questor」を披露し、来場者に業務効率化の新たなワークフローを提案した。両社は導入コンサルから環境構築まで伴走支援する体制を強調し、生成AIの企業活用を後押しするブースとして注目を集めた。さらに、Azure Marketplaceや社内PoCの成果を示し、導入効果を具体的な数値で提示した。

BizTech は、AI導入コンシェルジュ「AI Market」とプロンプト売買プラットフォーム「Prompt Plus」を軸に、ChatGPT/LLM、RAG、画像認識、需要予測まで網羅したユースケースをワンストップ提案する相談窓口型ブースを展開した。来場者は課題ヒアリング後に最適な開発会社やPoCパッケージを無償マッチング体験でき、生成AI活用の敷居を下げる支援メニューとして大きな注目を集めた。さらに、専門人材によるオンラインアシスタントや導入後の内製化伴走サービスまで紹介し、「テクノロジー流通を加速する」という同社ミッションの下、生成AI時代の頼れる相談窓口として存在感を示した。

エクスプラザは、生成AI活用支援パッケージ「EXPLAZA 生成AI Partner」とコンテンツ生成AI『Mark』の最新機能を披露した。Markのデモでは、記事やメルマガをワンクリックで生成・変換し、AIエージェントによるドラッグ&チャット編集、Web検索連携、ファクトチェックまで自動で行う一連のワークフローを実演。直近1年で3,000件超の生成AI案件を手掛けた実績を背景に、DX・業務効率化から新規事業まで伴走開発する姿勢を強調し、来場者のコンテンツマーケティング課題解決と生成AI導入ニーズに応えた。

東大松尾研発スタートアップの Elith は、製造・建設・交通向け画像AIソリューションを披露した。エッジデバイス上で動く軽量モデルと高精度物体検出をライブデモし、現場業務の省人化と安全性向上を訴求。さらにCOO 村上孟史氏がVision-Language Model(VLM)の実務活用を解説するセッションを行い、リアルタイム解析×生成AIで「現場DXを加速する」具体策を提示した。ユースケース紹介や導入相談窓口も設け、画像AIを実務に活かしたい来場者の関心を集めた。

インフラ向けAI監視ベンダーのSELECTOR(Selector AI)はネットワーク/クラウド/アプリを横断し、イベント相関・根因解析を自動化する運用基盤「Selector AI OPS」。AI/MLで大量アラートをノイズ除去し、故障検知から復旧までのMTTRを最大80%短縮できると訴求した。会場デモではボトルネック特定や意図的な障害注入への自律対応を実演。複数ベンダー機器を単一画面で可視化するダッシュボードや予測保全機能、ITSM連携も紹介し、生成AIの適用領域がネットワーク運用に広がる具体例として来場者の関心を集めた。

モルゲンロットは、パブリックGPUクラウド「MORGENROT Cloud Bouquet」を核に、AI/HPC向け計算リソースを“1 GPU・1 時間”から貸与できる独自仮想化技術を披露し、初期投資を大幅圧縮できる利点を強調した。ブースではジョブ単位で稼働と電力を可視化する「Arthur」、データセンター向けGPUオーケストレーター「TailorNode」も実演し、調達から運用最適化までワンストップで支援する構想を提示。再エネ電源選択やBCP対応などサステナ要件にも触れ、生成AI時代の計算基盤を求める来場者の注目を集めた。同社はNVIDIA公式パートナーであり、1サーバ8 GPUのシェアリング事例も紹介している。

NeosAIは、企業経営を丸ごと自動化するAIエージェント群「NeosAI Agent Store」を初披露した。
デモではフォーム入力自動化〈AI入力〉、24時間カスタマー対応〈AIサポート〉、社内研修生成〈AIトレーニング〉、統合データ分析〈AI戦略〉の4エージェントが連携し、書類画像の歪み補正や高精度OCRを介してワークフローを完結させる様子を実演。さらに独自のAI画像処理基盤と保険・証券業界での導入事例を紹介し、“人を中心にAIと共に走る経営”という同社ビジョンを具体化したブースは、生成AIの業務実装を模索する来場者の関心を集めた。

株式会社エーアイセキュリティラボはクラウド型Web脆弱性診断サービス「AeyeScan」の新バージョンを披露した。生成AIによるサイト自動巡回・テストケース生成と、AIが深刻度や攻撃コード流通を判断して優先度付けする“オートトリアージ”機能をライブデモし、診断漏れゼロと運用工数80%削減を訴求した。

株式会社アシュアード(Visionalグループ)は、SBOM対応脆弱性管理クラウド「yamory」を軸にブースを展開した。独自リスクデータベースと特許取得の“オートトリアージ”機能が脆弱性の深刻度や攻撃コード流通有無をAI的に自動判定し、CSPMやOSSライセンス違反、EoLリスクまで一元可視化するワークフローをライブデモ。クラウド連携だけでホスト/コンテナ/ネットワーク機器を継続スキャンできる運用容易性が高く評価され、Best of Show Awardセキュリティ(アセスメント)部門で審査員特別賞を受賞した。国産SaaSならではの日本語UIと国内データ保管を武器に、「AI時代のセキュア開発インフラを支える羅針盤」として来場者の注目を集めた。

台湾 MiTAC Computingは、Infinitixと共同でAIインフラ管理基盤「AI-Stack」を披露した。液冷対応OCPサーバ「G4520G6」や8 GPU搭載「B8261」と連携し、ダッシュボード上にGPU温度・電力・ジョブキューをリアルタイムで可視化。GPUを仮想パーティション化して単一GPUで複数タスクを並列実行し、ノード間をまたぐスケーリングも可能だ。さらに60 GB/s超のGraid SupremeRAIDを統合した高速ストレージ構成が同一画面で確認でき、来場者は操作体験を通じてAI/ML運用の最適化と電力効率向上を実感していた。

アクセンチュアは、AI Refinery™の新機能「Trusted Agent Huddle™」を日本初公開した。同機能はA2A・MCPなどの標準プロトコルでMicrosoft CopilotやSalesforce Einstein等のエージェントを横断連携し、単一ダッシュボードでワークフローを自動編成・監査できるのが特徴。会場デモではFedEx物流シナリオを題材に、複数エージェントが在庫照会→配送最適化→納期回答までを3分で完了する様子をライブ実演し、「エージェント協調で業務を丸ごと自律化する次世代基盤」を強調した。さらにガバナンス機能として、性能評価アルゴリズムによる「トラストスコア」生成や、企業独自エージェントのワンクリック登録も紹介。来場者からは「社外SaaSを巻き込んだ全社AI運用の決定版」として注目を集めた。

GMOインターネットグループ傘下・GMO Flatt Securityは、チャットで即時に脆弱性診断を依頼できるAIエージェント『Takumi』を軸にブースを構成した。LLMがソースコードや仕様書を解析し、自律的に試行錯誤しながら診断を完了、Slackへ結果を返すライブデモを披露。継続的デリバリーでも安全性を担保するDevSecOps運用や、セキュアコーディング研修『KENRO』との連携で開発前後を一気通貫に守る“AI×セキュリティ”の全体像を提示した。『Takumi』はBest of Show Awardセキュリティ(アセスメント)部門で準グランプリを受賞し、診断精度と導入容易性が高く評価。生成AI時代のセキュリティ運用を先取りするソリューションとして来場者の注目を集めた。

ジョーシス株式会社は、ITデバイス&SaaS統合管理クラウド「Josys」の最新機能を披露した。ブースでは、AIが利用状況とライセンス浪費をスコア化する「SaaS Management Scorecard」や、入退社に伴うアカウント作成・削除を全自動化するワークフローをライブデモ。Jamf連携によるデバイス資産同期、一括オフボーディング、シャドーアカウント自動検知なども紹介し、情シスのガバナンス強化と業務負荷削減の効果を実績データとともに訴求した。これにより「IT運用を自動化・見える化・低コスト化するプラットフォーム」として来場者の注目を集めた。

ダイレクトクラウドが6ホール小間6M15にブースを構え、「ファイルサーバーのDXから生成AIまで統合管理“DirectCloud”」をテーマに展示を実施。無料でユーザー数無制限の生成AI「DirectCloud AI Free」をはじめ、Azure OpenAI+RAGでハルシネーションを抑えた高精度回答や、アクセス頻度に応じて自動で低コスト領域へデータを移動するストレージ階層化サービスをライブデモした。クラウドストレージ、セキュリティ、生成AIを一体化したプラットフォームが業務改革とコスト最適化を両立する具体策として来場者の注目を集めた。

ハンモックが帳票AI-OCR「DX OCR」を核にデータ入力自動化ソリューションを披露した。ブースでは紙・FAX帳票をスキャンするだけで種類判別→項目抽出→CSV生成までを即時に行うワークフローを実演し、帳票設計不要・手書き対応・在宅ワーカー補正で99%超の読取精度を実現するポイントを強調。受注処理や請求書入力、医療レセプトなど具体ユースケースを交えながら、月額3万円から始められる料金体系と基幹システム連携機能も紹介した。さらにDirectCloudブース内パートナーセッション「紙やFAX受信による各種帳票データ化成功の秘訣!」でクラウドストレージや生成AIとの連携効果を解説し、入力業務の省力化に悩む来場者の注目を集めた。

さくらインターネットは、国産クラウド「さくらのクラウド」と生成AI向けGPUクラウド「高火力シリーズ」を核にブースを構成。NVIDIA H100/H200を最大8基搭載するベアメタル環境を石狩DCから遠隔接続し、学習・推論の高速化をライブ実演したほか、5月に提供開始した国内完結型「さくらの生成AIプラットフォーム」によるRAG/LLM開発支援も紹介した。オンプレや外資クラウドからの移行でインフラコストを約3割削減できるシナリオと、GPU使用率・電力を可視化する運用ダッシュボードで省エネ効果を提示し、国産計算基盤での生成AI実装の現実解をアピールした。

Lenovo は、純水を用いる第6世代液冷技術「Neptune」を中心にAI/HPCサーバー群を展示。ポンプ抵抗の低減とDWC方式によりサーバー自体の消費電力を9%、空調を含めたデータセンター全体を最大40%削減するとする実機デモが来場者の視線を集めた。

さらに「ThinkSystem DM/DG ユニファイド・ストレージアレイ」とエッジ小型サーバー「ThinkEdge SE100」がそれぞれBest of Show Award準グランプリ/審査員特別賞を獲得し、性能と省エネを両立するインフラ戦略を強調。J2BのAI映像生成ツール「MYSACCA」を共同展示し、GPUクラスタと生成AIワークフローをワンストップで体験できる構成も披露した。またセミナー「Lenovo TechDay」ではビジョン「Smarter AI for All」を掲げ、水冷運用ノウハウと国内DCでのAI導入事例を紹介し、ハード/ソフト両面でAI時代のインフラ最適化を訴求した。

AI学習や推論に必要な計算リソースの増大に伴い、データセンターの消費電力と冷却コストが課題となる中で、Lenovoの液冷技術はグリーンなAIインフラ構築に貢献する重要な要素として注目されています。

A10 Networks は、生成AIとAPIを狙う脅威に対抗する新製品群をライブデモで披露した。目玉は生成AI向け「A10 Defend AI Firewall ― Thunder 1060S-AI」。プロンプトインジェクションや機密漏えいをハードウェアで低遅延に防ぎ、AI-Engineによる予兆検知・性能予測も実演した。またCloud WAAP「ThreatX」と連携し、API保護やボット対策、L7 DDoS緩和まで統合する“ゼロトラスト境界”を提示。これら二製品はBest of Show Awardでセキュリティ(for AI/ハイパフォーマンス)の審査員特別賞を同時受賞し、会場の注目を集めた。さらにThunder 1060S-AIを用いたZAPR(ゼロデイ攻撃防御)とA10 Predictive Performanceのデモ、ShowNetでの大規模DDoS緩和展示も行い、AI時代のネットワーク防御を具体的に示した。

MAIPU通信技術は、GPUクラスタ向け400 G RoCEスイッチを中核とする「AI Compute Fabric」ソリューションを日本初公開した。32ポート/サブマイクロ秒遅延のスイッチで東西トラフィックをロスレス転送し、8ノードGPU学習ジョブの帯域・電力・ホットスポットをダッシュボードにリアルタイム表示。ジョブ単位のQoS自動チューニングや障害時の瞬時フェイルオーバーを体験できるライブデモが注目を集めた。AI運用に不可欠な高速・低遅延・可視化を兼ね備えた総合インフラ提案として来場者の関心を集めた。

H3C Japan Technologiesは、「Computing × Connectivity」を掲げ、AI基盤向けハードとネットワークをワンストップで提案した。ShowNetのAIコンテナ基盤(#D-4 RoCE v2ネットワーク)に採用された400 G spineスイッチ「S6805-54HT」とGPU対応サーバ「UniServer R4900 G6 Ultra」を中心に、SRv6+EVPN構成で学習クラスタを水平スケールするデモを実演。実機ラックのダッシュボードではGPU温度・電力をリアルタイム可視化し、AIOpsによる自動チューニングと省エネ制御を紹介した。さらにShowNetラックでの消費電力モニタリングやRoCE性能ベンチ結果も公開し、AI時代のネットワーク設計指針を提示。H3Cが掲げる“AI in ALL”戦略による「計算力×高速ネットワーク×グリーンDC」の具体像を体感できるブースとして来場者の注目を集めた。
H3Cは中国杭州市に本社を置くICTベンダー。2003年にHuaweiと3Comの合弁として発足し、現在は清華紫光系のUnisplendourが51%、HPEが49%を保有するジョイントベンチャーだ。社員数は1万8千人超、2023年の売上高は約73億ドル(約1兆1千億円)で、100超の国・地域に事業を展開している。主力はスイッチ、ルータ、サーバ、クラウド&セキュリティなどデジタルソリューション全般で、中国国内ではネットワーク機器シェア首位クラス、世界でもトップ5内に位置付けられている。

キーサイト・テクノロジーは、AIデータセンター検証スイート「KAI Data Center Builder」を核に展示。GPU学習で典型的なAll-reduce/In-cast通信をRoCEv2で忠実再現し、スイッチやNICなどのボトルネックを可視化して対策までガイドするワークロードエミュレーションをライブ披露した。ShowNet直結の400 GbE環境で輻輳制御を自動最適化し、ジョブ完了時間を約2割短縮するデモは、生成AIクラスタ検証の新常識を示すものと来場者の注目を集めた。同製品はBest of Show Awardデータセンター部門でグランプリを獲得し、最大1.6 Tb/s対応の次世代テストシステム「INPT 1.6T」は特別賞を同時受賞。さらに運用データに基づくAI予兆解析機能も紹介され、「設計から運用までAIインフラを一気通貫で支援する」という同社ビジョンを印象づけた。

中国・深センに本社を置く UGREEN(2012年設立、世界130 カ国で1億超ユーザー)が、AI機能を標準搭載した個人向けNAS「NASync DXPシリーズ」を国内初披露した。最上位 iDX6011 Proは Intel Core Ultraと内蔵LLMを組み合わせ、自然言語チャットでファイル検索や要約、RAG連携までこなす“AI NAS”を実装。展示では撮影日時を指示するだけで写真を自動分類しアルバムを生成、速度検証用にNVMeオールフラッシュ構成 DXP480T Plusが10 GbE/Thunderbolt 4経由で4K動画を即時編集するデモも行われた。UGREENは「プライベートクラウドと生成AIをワンボックスで提供し、家庭にもAI体験を届ける」と強調し、Best of Show Awardスマートホーム部門でファイナリストに選出。AIとストレージの融合を体験できるブースとして来場者の注目を集めた。

NTT Comブースでは、IOWN®のオールフォトニクスネットワーク(APN)上で離れたGPU資源を束ねる「GPU over APN」を前面に押し出した。川崎・秋葉原・三鷹の3データセンターをAPNで直結し、NVIDIA NeMoを用いた大規模言語モデル学習を実演したところ、学習時間は単一拠点比1.01倍、3,000 km離れた海外相当の遅延をエミュレートしても1.07倍にとどまる性能を確認。さらに分散推論デモでは、APN越しでもGPU数を増やすほど正答率が向上することを示し、マルチサイトGPUクラスタの実用性を訴求した。同社はAPN経由でストレージや他リソースも統合する将来像を描き、新サービス「APN専用線プラン powered by IOWN」で企業の生成AI基盤を支えると強調。サービスはBest of Show Award APN部門でグランプリを受賞し、高速・低遅延かつセキュアな“分散GPUインフラ”の鍵として来場者の注目を集めた。

MCデジタル・リアルティは、「AI XCHANGE powered by Cloud Bouquet™」を核に“GPUを1時間・1枚から”利用できるAI対応データセンターを紹介した。NVIDIA DGX H100/Super PODに対応するNRT10・NRT12(千葉)とKIX13(大阪)の3キャンパスをクロスコネクトで直結し、離れたGPU資源を束ねてジョブを走らせるライブデモを実施。初期投資ゼロで学習・推論基盤をスケールできる点と、再エネ100%電力・高効率空調によるサステナ運用を強調した。またマクニカの「AI TRY NOW」や菱洋エレクトロの「RYOYO AI Techmate」と連携し、PoCから本番まで伴走支援する体制を提示し、AIインフラ導入に悩む企業の関心を集めた。

Huawei は、生成AI時代を見据えたデータセンター向け全光スイッチ「OptiXtrans DC808」を前面に展開。MEMS駆動DC-OXCを核に400G→800Gへ無交換で進化する光・電融合DCNを形成し、GPUクラスタを数千ノード規模で弾力的に束ねる。O/E変換レス設計でポート電力を最大98%、ネットワーク全体を20%省エネ化できると強調した。PoD単位でスケールアウトしてもトポロジーが自律再構成され、学習ジョブ完了時間を従来リーフ・スパイン比で約20%短縮するライブデモを実施。製品はBest of Show AwardのAPN部門で審査員特別賞を獲得し、拡張性・省エネ・高信頼を兼ね備えた“AIスーパーDC”構築のキーデバイスとして注目を集めた。さらに長距離DC間の光伝送にも応用可能として、国内パートナー募集を呼び掛けている。

Juniper のテーマは「The Next Era of AI-Native Networking」。Mist AIプラットフォームと対話型運用助手Marvisを用い、Wi-Fi 7 APからQFXスイッチまでを自律制御するデモを披露した。日本に今春開設したMistクラウド上でShowNetに接続されたジュニパー製品80台超を可視化し、障害根因を即座に提示、平均復旧時間を85%短縮できる様子を体験できた。さらにDC自動化ソフトApstraではEVPNファブリックの意図逸脱をAIが検知しワンクリックでロールバックするシナリオを紹介。Juniperは「GPU投資より先に“AIネイティブなネットワーク”で土台を固めよ」と訴求し、新クラウドと教育支援プログラムを通じ国内AI導入を後押しすると強調した。ブース内セミナーでは導入事例や競合比較も公開し、多くの来場者が足を止めた。

AMD では、Supermicro製「H13 8U 8-GPU System(AS-8125GS-TNMR2)」を核にした次世代AIサーバが初公開された。筐体にはInstinct MI300Xを8基実装し、総計1.5 TBのHBM3メモリと896 GB/sのGPU間Infinity Fabric帯域を備えるため、数兆パラメータ級LLMを1ノードで格納できる点がハイライトだ。デモでは日本語GPT-7Bの学習/推論をROCm 6.0で実行し、旧世代比2.6倍のFP16スループットを実測した。来場者の関心は「NVIDIA DGX H100との違い」に集中。DGXは640 GBのHBM3を8つのH100で共有するのに対し、H13はその約2.3倍のメモリを空冷で搭載し、各GPU専用に400 GbE NICを8基割り当てることでデータロードのボトルネックを解消すると説明された。AMDは同等電力でもメモリ容量当たりの性能/Wを約40%改善できると強調し、「大規模モデル時代のメモリ不足を根本から解決する選択肢」として注目を集めた。さらにEPYC 9005との組み合わせでラック数を30%削減できるTCO試算や、KDDIと共同検証した遠隔GPUプール化の成果も披露され、会期中は終始長い行列が途切れなかった。

生成AI・光ネットワーク・脱NVIDIA GPU ― 今年の Interop 24 Tokyo は、技術テーマの多様化と“現場で動く実機”にこだわる文化がさらに進化した。各ブースでは、AIネイティブ運用(Juniper)、APN越しGPUプール(NTT Com)、国産GPUクラウド(さくらインターネット)など、日本ならではの実装例が脚光を浴びた一方、HuaweiのAscendやGraphcore勢の不在が示すようにポストNVIDIA競争はまだ過渡期にある。とはいえMI300X/Gaudi 3搭載サーバの初披露や、光電融合DCネットワークの実機検証など、“次の一手”は確実に芽生えている。Interopの価値は「見れば動く」の実証にあり。GAISとしては、出展各社の生成AIユースケースと運用ノウハウを継続的に追跡し、日本発イノベーションのエコシステム形成を後押ししていきたい。

★本記事は、ChatGPT o3/o3-pro が、取材メモとInteropの公開情報を元に作成しました。